食菊日記
用意するもの
・食菊
・お酢
・はらへり
なお、食菊は黄色のものでもいいですが、
薄紫色のものを強く推奨します。
1
淡くて上品な薄紫色を、目で楽しむところから始まります。
花っこの芯を指でつまみ、花びらを摘みます。
指先と手のひらで、花びらの質感を楽しみましょう。
摘む、なんて言葉を使ったけれど、「むしる」の方が適切です。
花びらをむしっているときは、何も考えていません。
食菊をむしる、すると、頭も心も空になる。指だけがせっせと動きます。
そして、無心でむしると、いつのまにか、食菊の小さな山が目の前に出来ます。
2
大きな鍋に水をたっぷり入れて、火にかけます。
沸騰したら、すこしお酢を入れる。
すこし、というのは、おちょこ一杯分くらいです。
さわやかな酸っぱさが鼻を通って、さらに腹が減る。
そこで、先程むしった菊の花びらを一気に鍋に入れます。
花びらは軽いので、湯にくぐらせても浮いてきます。
やきもきしましょう。
湯っこにくぐらせたら、ざるにあける、ひゃっこい水でしめる、絞る。
3
一回目は、何もつけずにそのまま戴きましょう。
菊の香り、色、苦味、甘味、なにより、しゃきしゃき。しゃきしゃき、しゃきしゃき。
歯ごたえが最高です。
二回目は、お醤油でどうぞ。
三回目以降は、白和えなどにしてもよいです。
こんなにうまい菊を食べないなんて、
もってのほかです。
みんなで秋を喰らいながら、「食べないなんて、もってのほかだぜ」って言い放ちましょうよ。
黄色の菊より、紫のこの菊の方が私は好きだな。
食菊好きの若者にあまり会わないので、
紫の菊の美味しさを家族内(相手は主にじさま)でしか楽しめないでいます。
「もってのほか」好きのボーイズ・アンド・ガールズ求む。
しゃきしゃき言わして合奏しましょうよ。輪唱もできそうだ。
「もってのほか」は、今が旬です。