季節の到来をきく

季節についてのごくごく個人的な感覚として
グラデーションをつけながらまじりあい
徐々に移ろっていく


というよりも、


ある時唐突に
「あ、違う季節になったんだ」
と気づかされる印象が強いです。



少し乾いた、冷たくかすかに香ばしいような空気に背筋が伸びるよう。
しゃきーん。



そんなある日、
深い紫色のぶどうを食べきらないくらい、いただきました。
シャンデリアみたいに垂れ下がった小枝に小さな粒がたくさんのやつ。


悪くしてしまう前になんとかしなくては!
ということで、日曜のジャムづくりスタートです。


鍋で煮ているうちに
突如ぅぅわっと水分が出てくる感じに少しおののく。


甘ったるい香りで台所がいっぱいになる。
その匂いの濃さに半分酔った様な気分で
ひたすらに灰汁をすくって30分。
皮がするんするん、と取れて種と浮かび上がってきたら
いったん濾して、砂糖をどぱっと入れて煮詰めてできあがり。


ずーっとぶくぶくと煮詰めていると
途中でものすごく不気味な様相になるのだけど
それを越して、またスーッと色が戻って
それで最後にはあんなきらきらした食べ物になる。




というのがなんだか人生のようではないですか?
というのはこじつけですが。



できあがったジャムはそんな適当調理具合にも関わらず
とろりとした面持ちで、
ぎゅうっと濃いぶどうの味がしました。
青より出でた藍みたいな。
本物より本物らしいみたいな。

それを口にした瞬間。
私の脳内で食欲の秋の到来が高らかに叫ばれたのです。



そんな日曜日の話です。
ではまたいつか。