かわいいものに弱い

土曜日はいつも寝坊である。
起きてしばらくしてからの日課は散歩だ。
本日は紺屋町方面を巡る事とした。
以前住んでいたエリアだが、しばらく見ないうちになんとなく変わった感じがした。
いつも見ていた菊の司(酒造)の蔵も今日ほど蔵っぽく見えた事はない。
街角軌道を有していた商店は解体され、中津川の向こうに中央病院跡の緑地が見えた。
大きな黒猫が二匹鎮座する酒屋には新しいメンバーが増えていた。
訊くと、玄関先で丸くなっていたらしい。
しかも黒猫である。大きな黒猫が二匹いる家に小さな黒猫が仲間入りである。
小さい猫はかわいい。

紺屋町からしばらく歩いてパン屋へ。
栗入りアンパンを買い、目の前の緑地でコーヒーと共に頂く。
曇天の寒々しい秋空は誰にでも平等に、ちょっとだけ厳しい感じがして結構好きだ。
緑地の雑草交じりの芝では、たくさんのスズメが何かをついばんでいた。
スズメは無条件にかわいい。

寺町と書店を経由し盛岡駅へ向う。ステーションデパートはいつからか女性の洋服がメインになってしまったので自分が買う服は無いのだが、女性用の服というのは華やかでいいと思う。
お金があったら、着る事もない洋服を目一杯買ってしまうんだろうなぁ。

いい感じに時間が経過したので、材木町へ行く。よ市は生憎の雨だったが、ポン菓子やキノコを売っている店に新しい仲間が増えていた。
北海道犬(推定)の子供である。後ろ足で耳の裏を掻くことも首輪から続いている紐を跨ぐ事も何一つ上手く出来ない。興味を持って近づいてきた成犬に吠える。やる事なすこと全てかわいい。

とまぁ、かわいい色々に恵まれた一日であったが、
「かわいい」
とつぶやく自分は傍目に気持ち悪いのではないかと思うのであった。