いきつけの床屋さん

こんばんは。おひさしぶりです。
すっかりごぶさたしてしまってごめんなさい。
今日は近所の床屋さんのお話をします。
その床屋さんは、ずっとずっとむかしからある、小さな床屋さんで
いまは、おそらく40代と思われる女性ふたりで切り盛りしています。
私が通いはじめたころにはもうひとり、60代くらいの女性がいましたが
いつからかお店には顔を出さなくなり、引退して奥の自宅で暮らしているよう
ふたりはそのお弟子さんだったのではないかと思います。
店にかけられた白黒の古い写真には「NHKに取材されました」と書いてあり
聞いてみると、たしか昭和30年代のものだと言っていてような。
ちびっこからおじいちゃんおばあちゃんまで
あらゆる年代のお客さまがやってきます。
さいころから通っていて、いまは自分のこどもを連れてきて
並んで鏡の前に座って、顔だけ出して白い布をかけられて
「今日はどうしますか?」と聞かれて
自分の髪はこうで、息子の髪はこうね
と言っている姿を、自分の順番を待ちながら眺めたり
となりで髪を切ってもらっているおじいちゃんから
「何十年もここに通ってるけど、若い女の子と一緒になったのは
はじめてだなぁ」なんて言われたり
床屋通いもなかなかたのしいものです。
この間、一緒になったおばあちゃんは自分がお嫁に来たころの話をしていて
おばあちゃんは編み機を使って編み物をするのが得意で
お嫁に行った先の家族の服を作って喜ばれたこととか
親戚の結婚式に着ていく服を作った話だとか
こどもたちに着せる服は、ほとんど自分が作ったとか
そんな話をしていて
でも、娘が中学生になるころから
お母さんの作った服じゃなくて、売ってる服が着たい
と言われてね、まぁ年頃だからねぇ
とすこししんみりしたところで
そう言えば、お姉ちゃんふたりに弟ひとりで
末っ子の男の子にはお姉ちゃんたちの残りの材料で作ってたから
上だけ青であとは下が全部オレンジ色の毛糸のパンツを
むりやり履かせてたっけ
あははは、学校で見られてからかわれてたりして
と、おばあちゃん、思い出し大笑い
つられてふたりの床屋さんと私も笑って
そんな、いきつけの床屋さんのお話でした。